【コラム】ちょっと役立つ心理学
「心理学」というと心理を専門に学んでいる大学院生や心理カウンセラーのような人のイメージがあるかもしれませんが、実はとても身近で普段の生活でも役に立つことが多くあります。
もちろん人の心を100%見抜いたり、自分の気持ちを完璧にコントロールすることは難しいですが、例えば人間関係や自分自身の悩みを軽くしてくれたり、恋愛がうまくいくヒントをくれたり、仕事で成果を上げる手助けをしてくれたり・・・
他にも商品開発やマーケティング、道路標識のデザインなどでも広く活用されています。
人は本当に様々で、派手な服が好きな人も居れば、地味な服が好きな人も居ます。
怒りっぽい人も居れば、温和な人も居ます。
自慢話が好きな人も居れば、謙虚な人も居ます。
例えば、怒りっぽい人の内面には、不安やコンプレックスがあったり、自慢話ばかりする人の内側には自信の無さが隠されていたり・・・
でも、これらのことも誰かの性格や行動を分析するために使おうとするよりも、例えば最近自分がイライラしていると感じたときには、「自分は今、何に不安を感じているのかな?」、というふうに自分の気持ちに向き合ったり、気づきを得たりするために役立てていくほうが、断然おすすめだと思います。
目次
恋愛にも役立つ、似ている人に惹かれる法則
見た目が似ている人に惹かれるということがあるかもしれませんが、これを活用したもっと積極的な行動として、好かれたいと思っている人に対して「ミラーリング」という手法があります。
相手のしぐさや口癖、会話のテンポなどを真似していくものです。
例えば、会話の最中に相手がテーブルの上にあるお茶に手をのばしたら、自分も同じようにお茶を飲んでみたり。。。
好かれたいと思っている人、というとまず恋愛が思い浮かぶかもしれませんが、職場の人間関係やお客様と話す時間が長いお仕事の人など、ビジネス面などでも幅広く役立てることができます。
また、好意を持っている人や尊敬できる人の言葉遣いやしぐさ、ファッションや考えなど、影響を受けて無意識に真似をしたりすることもあると思います。これも一種のミラーリングです。
人は単純に自分と似ている人に好意を持ちやすいことがわかっています。ミラーリングは簡単で身近な手法ですが、効果は十分に期待できます。ただし、あからさますぎると逆に不快感を与えてしまうこともありますので、あくまでも、「さりげなく」をこころがけることが大切ですね。
電車などでは、端っこの席に座りたい
電車などの乗り物では、端の席から人が座っていきます。新幹線や飛行機でも端から座席指定が埋まっていきます。両端を他人に挟まれているよりも、片側だけでも気兼ねなく居られるからですね。
人間には他人に立ち入られると不快に感じる距離があり、これを「パーソナルスペース」と言いますが、電車内ではパーソナルスペースを確保することが難しいために、満員電車というだけで、ストレスを感じてしまいます。
また、エレベーターなどで階数の表示を見つめてしまうのも、こうした不快感を紛らわすための行動と言えます。
パーソナルスペースは、相手によっても異なります。
家族や恋人なら触れるほど近くでもなんとも思わなくても、他人が近くに居ると不安や恐怖を感じてしまうこともあります。
また、個人差が大きいのもパーソナルスペースの特徴です。
一般的にパーソナルスペースを広くとりたがる人ほど、内向的と言われ、自分だけの居場所を必要としている人が多いようです。
さらに、女性よりも男性のほうが広くとりたがるようです。男性のパーソナルスペースは前方に広い楕円形の形をしていて、女性は前後左右均等の円形という統計もあります。ということは、男性は女性に比べて正面に立たれるのを嫌う傾向があるということですね。
狭い空間で会話をすると、男性は攻撃的になっていき、女性は友好的になっていくという調査結果もあるようです。
また、パーソナルスペースが広い人の特徴として、自分と相手の距離だけではなく、自分の持ち物に気軽に触られることに対しても、嫌悪感を持ったりします。
例えば自分のバッグを勝手に移動されたり、「これ見せて」と言いながら自分の物を勝手に触られたりすることも不愉快に感じてしまいます。
いづれにしても、あまり親しくない人に話しかけるときは、正面からいきなりパーソナルスペースに侵入するのではなく、隣に座ったりして横から少しづつ様子を見ながら近づいていくのがおすすめです。
名前だけが思い出せないのは、なぜなのか
芸能人や仕事関係の取引先の人など、顔や肩書など、名前以外の様々なことは全て思い出せるのに名前だけがどうしても出てこない、ということがよくあると思います。
これは、アメリカの心理学者ケネス・ヒグビーによる、記憶を脳に定着させるための7つの理論(通称、ヒグビーの理論)に当てはめると納得できます。
- 記憶を脳に定着させる7つの要素とは、
- ・意味があるもの
- ・ルールがあるもの
- ・何かと結びつけ連想できるもの
- ・視覚的なイメージがあるもの
- ・注意が向くもの
- ・興味が湧くもの
- ・確認できるもの
人の名前に関しては、元々明確な意味があることは少なく、名前からイメージできるものも曖昧なものです。さらに初対面が少人数で会ったとしても、名前は自己紹介のときに一度名乗るぐらいかもしれません。ビジネス上のお付き合いでは、名刺がつきものですが、まさに7番目の「確認できるもの」に該当します。
これらを考慮すると、お仕事上などで顧客の名前を覚えないといけない人、または逆に人に名前を覚えてもらう必要がある人は、名刺など(確認できるもの)以外の残り6つをうまく活用するのがおすすめということですね。
腕組みをするときの心理
苦手な人と接しているときや自分が今話している内容を周囲がどんな風に思っているか不安な時などに、無意識に腕組みをしてしまいませんか?
腕を組むという行為は、「壁」をつくろうとする行為でもあります。相手と自分の間に腕を置いて自分を守っている、ということですね。
ただ考え事をしていたので、腕を組んでいただけ、というふうに感じることもあるかもしれませんが、考え事の最中には他人に邪魔されたくない、という感覚がそのまま腕を組むという行為につながっていることもよくあります。
一方で自分の感情を表に出さないために腕組みをする、ということもあります。自分の感情もコントロールしないといけないような重要な場面ほど腕を組む傾向があります。これもある意味、自分と相手の間に壁をつくって自分の感情を知られないようにする行為ということです。
このあたりは、組んだ腕の高さにも現れることがあります。高い位置で組んでいるときは、威圧的、攻撃的になっていることが多く、低い位置では、不安や緊張を感じていることが多いです。いずれにしても心が穏やかとは言いにくい状態です。
また、腕だけでなく、手のひらでも同じことが言えます。手を握りしめているときは緊張感を持っていたり、防御の態勢になっていることが多く、逆に手のひらを見せているときは、気持ちもオープンになっているとき、ということです。
腕を組む男性のしぐさがカッコいい、女性のしぐさがカワイイ、と感じることがあるかもしれませんが、実は自分との間に壁をつくろうとする行為かもしれない、そう考えるとちょっと複雑な気持ちになりますね。
人はなぜ怒ってしまうのか
怒ってしまうのは、期待が大きかったことの裏返しでもあります。期待が大きければ大きいほど、期待通りにならなかった時の怒りは大きなものになってしまいます。
例えば、待ち合わせ時間に相手が遅れた時には、人付き合いの常識として遅れることはダメなことという気持ちもあると思いますが、さらに、「私の事を大切に思っているはずだから、待たせるようなことはしないだろう」という期待もあったからですね。
一般的には怒りっぽい人ほど、周囲に対する期待が強い人、頼りたい気持ちが強い人、と言われています。自分がどうしたいか、ということよりも、相手にこうしてほしい、という気持ちが強い人とも言えるかもしれません。
そして、人が怒るときには、「出来事」から「怒り」へ進む間に必ず何かしらの「感情」が存在しています。
その感情とは、不安、落胆、さみしさ、驚きなどであることが多いものです。
「本当は私の事を大切に思っていないかも」、「何か事故でもあったのかも」という不安や、「一緒に居る時間が減ってしまう」という落胆などです。
これらの感情は不快なものであるために、不快感から逃れるために感情を「怒り」という形に変えてしまいます。
そして、その怒りを相手にぶつけてしまうことがよくありますが、どんなに怒っても本当の気持ちがうまく伝わることにはなりませんね。
まず、出来事と怒りの間にある「本当の自分の気持ち」に向き合い、自分の気持ちを認め、それをそのまま相手に伝えるようにすると、ただ怒りをぶつけたときとは比較にならないほど相手の心に響くと思います。